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埼玉手外科研究所です。

疾患説明disease

手外科領域の疾患

疾患について

母指 CM 関節症CM 関節:指の付け根の関節

この病気は、物をつまむ時やビンの蓋を開ける時など、親指に力を必要とする動作で痛みが出ます。進行すると親指が開きにくくなり、関節の変形は外見からも分かるようになります。病気の起こる原因として親指のCM関節はよく動く関節であり、5本の指の中で最も良く使う指のためゆるみが生じやすく、そのため関節の軟骨がすり減ったり関節が亜脱臼して起こると言われています。また高齢者や女性に多い事から、老化やホルモン、遺伝的な関係も指摘されています。治療は初期の場合、固定装具や注射が有効です。それでも不十分で病気が進んでしまった場合には手術になります。当科では関節形成術や関節固定術、第一中手骨外転対立位骨切り術を行っています。

手根管症候群

この病気は人差し指、中指を中心としてしびれや痛みがでます。薬指や親指に及ぶ事もありますし、進行すると親指の付け根の筋肉が痩せてきて、細かい作業が困難になります。病気の起こる原因は神経が手首にある手根管というトンネルで正中神経が圧迫されるためです。女性に多く、手首の骨折後や重労働を行う人に多く見られます。治療は安静や飲み薬や注射で経過を見ますが、しびれが良くならない場合、当科では、小切開で神経の圧迫をとる手術を行っており、手術時間は約20分程度ですが、抜糸するのに約7〜14日程度かかります。

へバーデン結節

この病気は人差し指から小指にかけ第一関節が赤く腫れたり、指が曲がったりし、痛みを伴うことしばしばがあります。原因は不明ですが、局所の所見は高齢者に多発する変形性関節症の一つです。一般に40歳代の人に比較的多く発生します。中には水ぶくれのようになることもありますが(ミューカスシスト)、関節リウマチとは異なります。最初に行う治療としては飲み薬、塗り薬、テーピングなどがあります。注射で痛みをとる方法もあります。関節を固定する手術や関節の出っ張った部分を切除する手術を行っています。痛みがとれなかったり、変形がひどくなった場合には手術を行うこともあります。後、ミューカスシストが再発を繰り返す場合、当科では水ぶくれや骨の棘を取り除く手術を行っています。

キーンベック病(月状骨無腐性壊死)

大工さんなど、手首を酷使する労働者に発生します。多くの場合、手術が必要です。橈骨を短縮して月状骨にかかる圧力を軽減したり、月状骨を取り除き腱を丸めたもの(腱球)に置換する手術を行っています。

ドケルバン病

親指を酷使する人の手首の腱鞘炎です。ステロイドの注射を行い、それでも治らないケースでは手術を検討します。手術は日帰り手術で局所麻酔で可能です。手術時間も20分以内に終わります。

ガングリオン

女性の手首の背側に多発しますが、手のひらの指の付け根にもできます。小さなものほど痛みを伴うことが多いです。ガングリオンの日本名はありませんが、一見、腫瘍のようですが、これは腫瘍ではなく関節や腱鞘から発生し、関節液などがたまったもので、場合により手術が必要になります。術後に再発することもあり、再発率は術者の技量によるという報告もあります。手外科専門医の治療をお勧めします。

ばね指

指を曲げた際に指がかくかくすればほとんどの場合ばね指です。日常で非常によくみられる疾患です。50歳前後の女性に多いです。ステロイドの注射を行って治らないケースでは手術を行います。手術は日帰り手術で局所麻酔で可能です。手術時間も20分以内に終わります。

肘部管症候群

肘関節の内側に肘部管が存在し、尺骨神経が通っています。肘を酷使したりするとその部分で神経が圧迫されて手の小指と薬指がしびれ、進行すると筋力の低下がみられます。幼少時の肘骨折後の変形治癒例に合併することがあります。治療は軽症例ではビタミンB12を服用したり注射を行ったりしますが、あまり治療成績は良くないとされています。それらの治療で治らないケースでは手術を検討します。手術は尺骨神経の肘部管での圧迫を取り除き、骨の一部を削ったり、神経を前方に移動させたりします。文献的には手術成績は総じて良好とされています。

テニス肘(上腕骨外上顆炎)

テニス肘という名称ですが、必ずしもテニスをする人に生じるわけではありません。多くの場合、関節外にある肘外側の腱付着部炎が原因ですが、関節内に発生した滑膜襞という組織が痛みの原因になっている場合もあります。当院では腱付着部炎の処置だけでなく、肘関節内の病気の有無を調べ同時に処置することが可能です。

グロムス腫瘍

爪のところがものすごく痛くなる疾患です。非常に珍しい疾患であまり知られておらず、診断がつくまで何ヶ所も病院を回る患者さんもいます。手外科専門医を受診すればすぐに診断がつくと思います。腫瘍を摘出すれば経過は良好です。

外傷について

橈骨遠位端骨折

特に高齢の女性が転倒した際、手をついて発生する手関節部の骨折です。非常によく見られる骨折です。以前はギプス固定による治療が主流でしたが、近年固定力の強い手術方法(ロッキングプレート固定)が主流になっています。ロッキングプレート固定を行った後はギプス等の固定は基本的に不要です。

上腕骨外科頚骨折

高齢の女性が転倒して受傷する肩の骨折です。非常によく見られる骨折です。手術による治療が行われることが多いです。骨折部をプレートや髄内釘で固定することが多いですが、粉砕がひどいケースなどでは人工骨頭や人工関節を行うケースもあります。

上腕骨顆上骨折

鉄棒やジャングルジムからの転落で、小児が手をついて受傷する肘の骨折。多くの場合、手術が必要です。血管損傷を合併したり、肘周囲の晴れが原因で、フォルクマン症候群を合併すると、重篤な機能障害を起こすことがあり、要注意の骨折です。成人の骨折では手術治療に技量を要するケースが多いです。肘頭を切り落としたり、尺骨神経を移行させたりする必要があるケースがしばしばあります。いずれのケースでも手外科専門医の治療を受けられることをお勧めします。

舟状骨骨折

骨折を見落とされ、捻挫と診断されて治療が遅れると、偽関節となり骨移植の必要な手術となることがあります。早期に発見し、骨折のずれが少ない場合は、皮膚を少し切開し、レントゲンで透視しながら1本のネジで固定する小さな手術で済むことが多いです。スクリューの刺入はコツがあるので慣れない医師がやるときっちり刺入できないことも少なくなく、診断も含め手外科専門医の治療を受けられることをお勧めします。

舟状骨偽関節

舟状骨骨折を治療せずに放置しておくと偽関節と言いまして骨がつかないままの状態になることがかなりあります。そのようなケースでは手根骨の配列が乱れたりするケースも多く、手術で治療します。手術は偽関節になった部分に腸骨(骨盤から採取した骨)や血管柄付きの骨を移植します。

TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)

三角線維軟骨複合体という手関節部の半月板のような役割をする部位の損傷で、手首を捻る動作で手首の小指側にズキンとした痛みを生じます。この部位の痛みは靭帯損傷、腱の異常により生じることもあり専門医の診断が重要です。診断は専門医による診察のほか、単純X線、手関節造影検査、MRI検査を行います。治療は手関節サポーター、投薬、注射などの保存療法を行い、多くの人が自然と治癒しますが、遠位橈尺関節不安定性症(手首が橈骨と尺骨の間がグラグラしている)を生じていたり、保存療法で軽快しない場合は手関節鏡を用いた手術を行っています。尺骨を短くする手術の成績は良好とされています。

槌指(マレットフィンガー)

指の第一関節(DIP関節)が自力で伸びなくなります。いわゆる突き指で伸筋腱の付着部で腱が断裂したり骨折したりして生じます。装具で治療することもありますが、手術した方が治療成績はは良好です。

中手骨頚部骨折

ボクサー骨折とも言われますがボクサーはあまりなりません。中手骨頚部の骨折です。プレートやK-wireで固定する手術を行うケースが多いです。